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《富岡邦彦(シネトライブ2004代表)総評》

 4年目を迎えました「シネトライブ」。今年も幾つかの成果とともに多くの問題点もありました。まずは昨年、作家同志の交流があまり出来なかったという反省から、今年は作家同志の対話の場所として「common cafe」にての毎週金曜日の「シネトライブ・カフェ」を開催しました。これはゲストに来ていただいた村上賢司、松江哲明、アレックス・ツァールテン、丹下紘希、山下敦弘らとともに関西在住の若手映画作家の交流が出来たことは大きな成果でした。そして昨年のシネトライブ2003のベストセレクションがドイツ、韓国をはじめ海外の映画祭にもツアーするという成果とともにそれぞれの映画祭で生まれたコネクションから昨年に引き続き香港アートセンターの「香港インディペンデント・フィルム・アンド・ビデオ・フェスティバル(IFVA)」の作品に加え、ドイツのフランクフルト「エクスグラウンド映画祭」からの出品もあり、またハンブルグ短編映画祭からのゲスト上映作品もありました。スローではありますが、「シネトライブ」は大きな映画祭にするのではなく「質の高い映画祭」を目指しております。ここで発見された「優れた作品」が今後も海外映画祭への出品を含め、多角的に流通することで、インディペンデント映画の全体の質が向上すればと思います。

 さて、今年の作品ですが、昨年に比べて技術的な完成度の高い作品が増えています。これは一方では喜ばしいことですが、当然、映画は技術的な完成度は「映画の質」を保証するものではありません。つまりDVカメラとパソコンとそのソフトの向上が作品の「質」の向上とは正比例しないばかりか、反比例する場合が多いともいえます。撮影時のミス、あるいは決定出来なかったこと、雑さが編集で何とかなるという考えが見てとれます。シネトライブは「映画の異種格闘技戦」ですから素人俳優の下手な演技や技術的なミスのある作品でも「それがそこに存在し、動いており、物語を紬出す力」を生み出せればこれはこれでよし、というところです。観客投票では「ナショナルアンセム」と「トロイの欲情」が人気を得ました。まず「ナショナルアンセム」は音声にかなりの難点があります、そしてそのスタイルについては松川氏も指摘されたように「誰かの作品」にあまりにも似ているという問題点があります。しかしながら似ているということは否定的な指摘ではなく、ここまで似たものを平気で作ってしまう「恥ずかしさの無さ」はその似た対象になった監督の初期作品でも指摘されたことでした。もはや似ているとかオリジナリティの有無が評価に「面白さ」を保証するとは思えません。100分近い長い時間を見せることが出来たこの作品は評価に値します。一方観客賞で次点となった「トロイの欲情」は独特のスタイルを持っているという評判でした、しかしながらこのクローズアップと特異な構図の多様は最終的に成功していません。結局これは編集の映画になっており、なぜそのモンタージュが必要なのかという確信が作家に無いということが明確に見えてしまいます。昨年の審査員賞を受賞した「片思いの春夏秋冬」の物語を語るための的確な編集の様な作家がカメラを立てる位置とそのサイズに対する明確な意図をさりげなく組み立てる智恵を付けることを次作に期待します。

 最終審査に残った作品は「ニューデイズの人形」「マリコ三十騎」「極東のマンション」「叩く女」「たいようとめろんパン」「ミリコと宇宙人」「ピリカ」「ナショナルアンセム」「雷寛」が残りました。審査員表では全員一致で「ニューデイズの人形」が審査員作品賞を受賞ということになりました。「極東のマンション」が既に高い評価を得ている真利子哲也氏には特別賞を創り、すでに「シネアストの眼」の次回作の制作をお願いしております。同じ真利子氏の「マリコ三十騎」は手法としても題材としても独自のポイントがあり、それを「面白く」語る力は十分感じられます。三十人が海から現れ、暴れるシーンは圧巻であり8mmフィルムならではの生々しさと虚構感が立ち上がります。「たいようとめろんパン」は破綻のない物語構成で悪くはないのですが、決定的なポイントがどこか必要であるような無難さがマイナス点となるでしょうか。逆に「叩く女」に関してはアイディアはかなり面白いににもかかわらずそれがポイントとしてしか機能しておらず、優れたショットやアイディアを持続させるだけの持久力があれば長編としても通用する題材だったのではないかと残念です。「ミリコと宇宙人」「ピリカ」もワンポイントで可能性は感じることが出来ます。最後に「ニューデイズの人形」です。これは動きが多い作品ではありませんが、人物の立ち位置が良く考えられており、身振りだけで物語の流れを表現できる力があります。役者にも味があり、演出力にはかなりの可能性を感じさせます。作家が今の状況の中で出来ることをやり遂げた感があります。映画は「やりたいこと」を実現するのではなく「やれること」から「やりたいこと」へと向かう意志が最も重要でありそこに可能性があるのです。この点は「ニューデイズの人形」と「マリコ三十騎」に共通するものだと思います。

2004年8月 「シネトライブ2004」代表 富岡邦彦

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