当時マグロを売る仕事をしていた山田雅史監督の初デジタル・ビデオ作品『The Record of the Cry from Deep Sea』。現在はホラー・ビデオ『ほんとうにあった恐い話』などで映像製作をしておられ、商業作品と自分の目指す作品の違いについて語られました。山田監督は明日おこなわれるアジアン・ミーティングで上映される『ムーン』の一編「ユリの枯れる頃の声」で日本編を担当しておられます。『ムーン』はジェームス・ウォンの歌詞による7つのアジアの物語という副題を持ち、香港で流行したポピュラーソングの一節をそれぞれ7監督が描くというオムニバスです。
そしてよなご映像フェスティバルよりスタッフの万谷氏が来場しました。よなご映像フェスティバルというのは2008年に鳥取県の米子市で米子出身の映画作家から作品を募り、行なわれた映像フェスティバルです。今年は第二回目が行なわれるようで、ただ今作品を募集されているということです。参加資格は米子に興味のある人なら応募できるとおっしゃっておられました。

山田雅史監督 よなご映像フェスティバル・万谷氏 藤原敏史監督

そして今回プレミア作品の一本『ぼくらはもう帰れない』の藤原敏史監督の登場です。作品のはじめに「この映画は即興で作られました」というようなテロップが入っているので、当然、観客からはどう即興なのか? という質問は飛びます。脚本が無いのだけれど、お話を聞いていると、役者さんたちと2ヶ月にわたって話し合い、構想を練ったということです。舞台裏で「映画は一人では作れない」と言っていたのが印象的で、正にそれを証明する映画です。







浅川周監督2度目の来場です。本日は『とけて、まざる。』について語っていただきました。この作品はどこかから以来されたものではなく、撮影後に呑むお酒はおいしい、だから撮影をしておいしいお酒を呑もうというところから出発した企画だそうです。滋賀県の風景が好きで、今までの作品も多くが滋賀県で撮影されていて、その理由を聞くと、海でも山でもない平原の見通しが好みだということです。雪が印象的なこの作品、今まで冬の作品が多く、次は夏も撮影してみたいとおっしゃっていました。

浅川周監督







本日は『花の鼓』と『背骨のパトス』の松岡奈緒美監督が舞台挨拶をされました。長女、長男を連れて来場した松岡監督が「先入観なにし見ていただきたいです」と語ったその映画は、子供達の出産をつづったドキュメンタリーです。18,27,28日にもそれぞれの会場で舞台挨拶をしていただきます。また22日のフラミンゴ ジ アルーシャの上映にも来場されます。その後、『へばの』の上映後木村監督ともトークされました。

松岡奈緒美監督







『赤を視る』の浅川周監督が上映後に作品のなりたちとキャストについて話しました。『赤を視る』は過去のシネトライブでコダック協賛の『監督賞』を受賞し、そのバックアップから生れた作品です。白黒映画にしたのは主人公の女性の心情を描き出すには、カラーより白黒の方が適していると思ったこと、また俳優に対しては具体的に細かく役者に伝えてしまうと、役者がそれを気にしてしまうので、何気なく、思う方向へ向えるように補助をすること、などを話されました。
浅川監督はシネ・ドライヴにあと2作品出品しています。4-E『ウガチナガス』と4-G『とけて、まざる。』です。
これらの作品時にも来場してトークをしていただきます。

浅川周監督

そしてシリーズの第1話・第2話だけでしたが『テンロクの恋人』の渡辺シン氏と『月神の森』『風の名前』のYoshinoさんが挨拶されました。渡辺氏は天六のカフェでこの作品をスタートさせており、後3話・4話がこれから製作されるとのこと、Yoshinoさんはすでに次回作を完成されたようでその上映の準備もされているようです。

渡辺シン監督 渡辺監督とキャストの方々 Yoshino監督









『塗り立てのペンキに、涙』を監督された大野将志さんと脚本を担当した仲井さ んがいらっしゃいました。
大野さんはケーブルテレビ番組や企業VPなど映像全般の製作業務をされており ここ8年で短編映画の製作を続け、3年前にシナリオ学校で出会った仲井と長編 に挑戦した第2作目が本作とのことです。
『手話刑事』の谷進一さんも挨拶されましたが、谷さんは俳優でもあり、横浜聡子の『ジャーマン+雨』で医者役でも出演されている方です。どうも医者役が多いのですが介護士もされており、京都 では聾唖者の方々と「劇団あしたの会」を結成し活躍されています。その「劇団あしたの会」で製作したのがこの『手話刑事』。サイレント映画ではありませんが手話をメイン使った作品ですね。身振りと言語が一体化する映画の可能性についても話すことになりました。

大野将志監督(右) 谷進一監督 安井聡子氏

そして伝説の学生映画となった『鬼畜大宴会』では当時美術で参加し、後に宣伝を経て、現在では青山真治組だけでなく大作の日本映画でも製作チームでも活躍する若き旧友で女傑・安井聡子の参上!
『鬼畜大宴会』製作当時のことだけではなく現在進行形の日本映画での制作部の エピソードも多数話題にでて若い製作者にとってはかなり刺激的な内容になりました。






まずは『幸福のスイッチ』で商業映画デビューした安田真奈さん。現在も大阪に 在住で、テレビを含め2本の商業映画の脚本が進行中とのこと、主婦、母でもあ り、しばらくは監督は難しいようですが、ほぼ10年前に自主制作からOL監督とし て関西で活躍していた頃の『ひとしずくの魔法』でトークしていただきました。
これはインディペンデントではなくテレビ局出資のものですがその前の作品 『オーライ』に続く作品として和歌山のポルトヨーロッパで3日で撮影。初期の デジタル作品でもあります。元家電メーカーの営業マンでもあったので「売り込 み」の上手さが作り手には重要な"才能”であることをよく理解されています。
自分の作りたい地味なテーマを商業映画に変化させる。まさに「ひとしずくの魔 法」とは安田氏の方法論でもあるのです。

安田真奈監督 吉岡研治監督 守屋公記監督

続いて映画製作を始めたばかりの若いお二人 吉岡研二氏と守屋公記氏。二人は 始めてですが、いきなりのトークをしていただきました。
警戒しながらも微妙なかけひきは次回にもちこされます。
昨年の大阪芸大の卒業制作「古屋の次第」の加藤秀仁氏。彼は当方の映写スタッ フでもあるので、ちょっとばかりキビしく迎えましたが、観客席からも質問がで て多少うろたえるという場面もありました。その質問は下記の松村氏です。自分 の世界の表現から他者を受け入れる姿勢が見えないだろうか。という意味では私 が知っている分、すこし内容には踏み込んだものですが、いずれにせよまだ第1 ラウンドです。
多くの方から多数の意見の矢が加藤氏だけではなくもっと飛んだほうが面白いの ですがね。

加藤秀仁監督 松村浩行監督

東京から遠路、関西での『TOCHKA』のプレミア上映に松村浩行氏がいらっしゃい ました。松村氏は「映画美学校」の2期生で1999年には16mm作品『よろこび』で 注目され(かつてシネトライブで上映)その後『死なば諸共』の西山洋市監督の助 監督を経て『YESMAN / NOMAN / MORE YESMAN』を完成させました。『TOCHKA』は 美学校の卒業生仲間だけではなく『犬猫』の藤田陽子さんや菅田俊さんも出演 し、今年中には公開したいという作品です。まさにインディペンデントでしか出 来ない作品でもあります。昼間は他の作品も積極的に見て、夜は『へばの』の木 村文洋監督や『紅葉』の山崎樹一郎氏らとその後3日間のみ歩くと言う濃厚な日 々を過ごしてます。こういった方が増えるのがシネ・ドライヴの醍醐味になれば いいのです。






シネ・ドライヴ2009
1日目『ジャーマン+雨』で幕開けしたシネ・ドライヴ!
短編『miminari』の板倉善之氏、『幸恵』の安川有果さんが上映後にトークしま した。

板倉善之監督 安川有果監督

板倉氏は今後の自分の作品の展開とともに「見せる」という意識について 『miminari』制作時に考えたこと、 そして卒業制作として『幸恵』を監督した安川さんは自ら選んだテーマとそのア プローチについて自戒をこめた話をされました。
インディペンデント=自主制作映画がまずは越えなければならない最初の壁が少 し明らかになったのです。
観客が「想像」することで作り手が表現しきれなかった「何か」を補完する。と いう内省的な映画作りへ疑問を投げかける。
これが今、日本映画に蔓延している「虚弱さ」でもあるのです。
『パビリオン山椒魚』の冨永作品、『天然コケッコー』の山下監督の初期作品。 『おそいひと』の柴田監督初期作品など現在注目される30代前半の若手監督の作 品とかつて関西ではカルト化して大ヒットした『京極真珠』などは見逃した方が 来られたようでした。
しかしもっと新作に注目していただきたい。トークでももっと参加者の議論白昼 を期待しています。
『へばの』も本日よりスタートしました!木村監督は関西の若手監督を中心に連 日トークします。
明日は朝から安田真奈さんが来場されます。そしてプレミア上映の注目の松村浩 行監督作品『TOCHKA』でも監督が駆けつけていただけます。
見てトークに参加して監督とも直接話していただければ、シネ・ドライヴの醍醐 味を感じていただけるでしょう。
明日からも飛ばします!






いよいよ明日からシネ・ドライヴ2009がスタートします!
シネ・ドライヴは日本国内でこの10年制作されたインディペンデントの劇映画を 中心に最新作のプレミア上映まで作品は幅広い。
今回が関西初上映の作品も多数あります。これはインディペンデント映画作家た ちがバトルするリングなのです。
映画の制作は完成がゴールではありません。どうやって上映してゆくのか、どう やって観客のもとに作品を届けるのかがもっとも重要なテーマです。
幕切りになる作品は昨年の日本映画監督協会新人賞を受賞し低予算(150万)で 制作しながらも大ヒットした横浜聡子監督の『ジャーマン+雨』です。彼女の最 新作は松山ケンイチ主演の『ウルトラミラクルラブストリー』(6月公開)です。
彼女の始めての長編が『ジャーマン+雨』で『ちえみちゃんとこっくんぱっ ちょ』も後日上映します。
ゲストも多数来場します。ゲストについては追って告知いたしますが、 まずは明日、板倉善之監督が13:30の回にトークします。
そして夜は夜で話題作『へばの』の公開があります。木村文洋監督のトークのお 相手は私がいたしますが、木村監督は上映期間中連日のように上映後にトークす ることになっています。
これから映画を作ろうとしている皆さん、そしてまだインディペンデント映画を 見た事がないという皆さん。
ぜひ、観に来てください。いやいや観に来るだけでなく参加していただきたい。 上映する100本を越える作品のなかでどれが一番面白いのか判定してください。 これは日本映画への私の、いや皆さんの挑戦なのです。映画祭はお祭りではなく 製作者・監督の“戦場”なのです。

シネ・ドライヴ2009 富岡邦彦