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2006年9月3日(日)11:00〜15:00  『俳優の戦略』

講師:信國輝彦(俳優)



前回7/23、監督側(唐津正樹監督)からのアプローチを経た俳優専門カリキュラムだったが、今回は俳優側からのアプローチを経たカリキュラムとなる。

講師は信國輝彦氏。劇団『クロムモリブデン』をはじめとする舞台で活躍し、自主映画にも出演しだす。『怨念 黒髪の復讐』(浜田弘典監督)の怪演、『堤防は洪水を待っている』(山田雅史監督)では圧倒的な演技を見せ、第1回CO2男優賞を受賞し、審査員である黒沢清監督に「出てきた瞬間から、釘付けにさせた」と絶賛される。

信國輝彦氏の演技に対する矜持には、徹底的に「映ること」に対して意識を持つ、ということがまずあるのだそうだ。その意識を高めた上でまず自分の個性や表現などが許される、と俳優としての立場を考える。そして、演技は「相手ありき」だということ。一人による表現ではなく、「相手を感じさせる」演技をしてこそ、演技なのだと語る。この二点を軸に、「俳優の戦略」カリキュラムが始まる。



まずはじめは、「何もしない」ということを行った。

台詞を禁じ、表情と仕草だけで「これまで生きてきた人生」を身体から醸し出させること。これはかつて、信國氏がオーディションで実演したことでもあるそうだ。俳優コースを二人一組とし、「友達として」「恋人として」の設定だけを与え、そのいずれかを表現させた。この出だしのエチュードは、俳優コースの方々にとって衝撃であったようだ。

続いて、やっと「言葉が与えられる」。信國氏の持ち込んだテキストを基に、台詞を与えられた演技を俳優が行う。 しかし、この「言葉が与えられる」とは「台詞という縛りが与えられる」ことでもあった。監督、書き手の世界観をまず受け入れてこそ、演じる者が人物を創造できるのだと信國氏は語る。この順番を違えてはならない、とした。

最後に、「縛りの無い人物創造」を目指して、台詞を今度はうばった。自由に会話をしていい、しかしその会話もあくまで映画の人物として生きている会話でなくてはならない、とする。『堤防は洪水を待っている』において、一箇所だけ即興のシーンがあったという。それは、映画の物語に入る以前の、幸せだった主人公と恋人との時間を会話だけで演じる、というものだった。信國氏はその会話を、主人公として生きることから出来たと語る。


「なにもしない」で
「相手を感じさせる」
「映る」ことの意識を高める
信國輝彦講師


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