『SRサイタマノラッパー』     大ヒッット中

【2009年06月27日 から 7月 3日(金) まで 】

「SRサイタマノラッパー」

PLAX-Vol.1
シネ・ヌーヴォXとともに昼上映から夜上映(レイト・ショー)へと連携してお届けする
お薦めインディペンデントのシリーズPLAXの第1弾!
このシリーズで紹介するのは基本的に地方が舞台に製作され、インディペンデント映画独自の味わいと、
あきらかに一般劇場公開の映画の観客の皆さんにも十分楽しんでいただける作品をセレクト。
まさに現在形の日本映画の優れたエッセンスが感じられるものばかりです。

第1回目は『JAPONICA VIRUS』でも知られる新鋭入江悠監督の大ヒット最新作。
本年度のゆうばり国際ファンタスティック映画祭でも受賞し大きな話題となった作品。
埼玉県の3人のラッパー「ショーグン」。その一人の太っちょIKKUを軸に、夢と現実を目の前にした20代後半の地方の若者たちの悲哀をストレートに描いた快作!
『スクール・オブ・ロック』や『僕らの未来へ逆回転』の日本版と言ってもいいでしょうか
ラストの居酒屋のシーンはだれもがこの主人公に引き込まれるでしょう。 IKKU役の駒木根隆介がまるでジャック・ブラックに見えてしまいます。

6/27(土)入江監督、MIGHTY役奥野暎太さん、TECさん来場

監督・脚本 入江悠
撮影三村和弘
音楽岩崎太整
録音高田美穂
出演駒木根隆介(IKKU)、益成竜也(KEN)、みひろ(小暮千夏)、
  奥野暎太(MIGHTY)、水野紳吾(TOM)、TEC、上鈴木伯周(T.K.D)





ちっさいけどおっきいやつ。

ラッパーって一体どのくらい服を着込んでいるのだろう…と、そうゆう感じの人達を見る度に思う。
例に漏れずこの作品でも、たまり場である寒そうな倉庫の中でひょうひょうとYoYo!と過ごす彼らを見て、なんと気合いの入った着込んだ奴らなんだろうと感心した。
その中でひときわ目を引いたのが、その誰よりも立派な図体のIKKU(イク)。
大きな体のうえに、更に着込んでいるものだから、それはもう特別な存在感を放っている。
幼い頃、トトロの胸に飛び込むのが夢だった私は、その名から子音を拝借し、即座に彼をIKKUからTTRと勝手に改名した。大文字だとそれっぽいし、まぁいいだろう。
TTRがいく先々には、本物のトトロが連れて行ってくれる様なキラキラした場所なんてなくて、嫌になるくらい普通でどんより曇った風景しかない。
それでも彼は何だか一人ウキウキし、ワクワクしている。そしてプクプクもしている。
土手を歩く彼の姿は幸福に満ちていた。そんな彼の姿を見てしまったこちらとしては「ダッさ!」「イケてねぇ」なんて言葉では片付けられなくなってしまう。
TTRは意地の悪いいい歳したいじめっ子にボコボコにされるし、美人同級生には宇宙人って言われるし、極めつけには仲間にもみそかすに言われる始末。
けれどもTTRは仕返しもしなければ、美人同級生も犯さないし、誰にも何も言い返さない。
おっきいおっきい体の中にある、ちっさいちっさいハートを守るため、彼は鎧の様な厚着をし、それが壊れてしまわない様にその場を離れることしか出来ない。
そんな彼が一歩一歩前に進む度に、どんどん小さく、儚く消えていく様に見える。
もう彼はTTRでもIKKUでもなくなっていく。
そうしてミジンコみたいに小さくなってそのまま消えてなくなるのかと思いきや、彼はある日、分厚い鎧を脱ぎ捨て、
あっついハートをむき出しにしたようなあっかいスウェット一枚で勝負に挑むのだ。
私はその時初めてちょっぴり彼の胸に飛び込んでみたくなった。

(山口裕子/劇場スタッフ)



さいたまのラッパー目の前に広がるブロッコリー畑は、何千マイル行けばアメリカに繋がってるんだろう。
疾走するトラックの、闇夜を彩るネオンライトは国道17号のパチンコ屋。ラスベガスは何処だ。
青春時代の素晴らしさは、己が何者にでもなれるという過剰な自意識。
「俺っては実はラップの天才で、いつか憧れのエミネムや2パックと肩を並べてフリースタイルするんだぜぇ〜」って、根拠も無い妄想を夜な夜な妄想したり。
愚かな若者達が自分の置かれた状況を受入れた時、心の奥底から溢れるリリック。
込み上げる不満、行き場の無い嘆き、ありのままの自分。
埼玉のラッパーは世界に羽ばたけるのか?見果てぬ夢は音速で羽ばたいて、国境を超えるかもしれない?
痛々しく青春を模索する人も、過ぎ去った青春を取り返したい人も、
いつまでも青春でいいじゃ無いですかって信じている人も。
Let's Check "Saitama-no-Rapper" out together♪

(岡田まり/33才)


これは青春映画なんてもんじゃない。はっきり言って、イタイ奴の話である。
ラッパー目指してるくせに、自分じゃ作曲も出来ず、乞われるままに市民集会みたいなのに呼ばれては「ですます調」で正直に質問に答え、
悪そうな格好してるのに中身のチキンぷりを見透かされて理不尽な暴力を受けたり。
ちょっと好きだった女の子がAV嬢やってた話を知ってもその娘を犯すこともセックスに持ち込むことも出来ない。

ラッパー目指してるニートならそれらしく親や知り合いをだまして大金を手に入れ豪遊くらいはやって、こちらに「わっるぅ〜」と思わせてほしいものだ(主人公のIKKUは実家住まいのニート)。
格好の割りに「全然悪ないやんけ」という印象だ。でも、これが日本の20代のリアルな姿でもあるところが悲しいところ。
いつの時代からだろう。若者が「夢を持つ」という事が、大人たちに鼻で笑われるものでなく逆に両手を挙げて賛成してもらえるものに変わったのは。
かつて「夢を持つ」とはその「夢」の中身で本気で金を稼ぐことを行動しながら懸命に模索することであったはず。
それがなぜか「夢」が現実逃避の手段として使われるように変化した。現実逃避は悪いことではない。その人なりの現実を生き抜く手段として時には有効なものだから。
ただその場合に使われる「夢」とは、空想(ファンタジー)と同じ意味を持つ。
だから、現実逃避のひとつとして夢を持ってる・・・つもりの人に幾ら「あなたの今のその程度の努力では夢に近づきそうにないですよ」と話しても、フワフワとした議論になるだけだろう。
ファンタジーの世界に現実世界の言葉は意味を持たないのである。
最後まで主人公IKKUは、誰かに決定的な一言をぶつけられる事なく終わってしまう。
だから、「埼玉県深谷でこのまま何も変わらず夢を追ってるつもりで生き続けていくのだろうか」と思う。
ただ、何かが起きてIKKUが劇的な変化を遂げる可能性は0%と言い切れない。
そこがこの映画の面白いところ。
IKKUが一歩踏み出すことがあるような無いような。どちらの予測も可能。
結局何の一歩も踏み出してないものを「淡々としたドラマ」と言い張ってるような映画が多い中、それとは一線を画す作品として好感を持った。

(エビス恵子/39才)

スケジュール

20:00〜
6/27(土) SRサイタマノラッパー
6/28(日) SRサイタマノラッパー
6/29(月) SRサイタマノラッパー
6/30(火) SRサイタマノラッパー
7/1(水) SRサイタマノラッパー
7/2(木) SRサイタマノラッパー
7/3(金) SRサイタマノラッパー
6/27(土)初日は監督来場トークあり。
6/27(土)・28(日)監督特集あり(別ページ参照)

料金

SRサイタマノラッパー
一般当日 1500円
会員・学生 1000円

ホームページ

http://sr-movie.com/
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