73年。アメリカンニューシネマの俳優たち/自由と憂鬱

【2011年05月28日 から 6月17日(金) まで 】

73年。アメリカンニューシネマの俳優たち/自由と憂鬱

ニューシネマの時代が終わり、敗北した若者たちのノスタルジーと男たちの50年代がふと甦る。女たちは新しい生き方を発見する。そんな時代の映画には個性的な俳優たちがいた…。




『アリスの恋』Alice Doesn't Live Here Anymore 1974/U.S.A./113分

監督マーティン・スコセッシ
脚本ロバート・ゲッチェル
撮影ケント・L・ウェイクフォード
音楽リチャード・ラサール
出演 エレン・バースティン、クリス・クリストファーソン、アルフレッド・ルッター
 ハーヴェイ・カイテル、ビリー・グリーン・ブッシュ、ジョディ・フォスター

少女の頃、歌手を夢見たたアリスも、すでに35歳。粗野な夫に頼りきり、こましゃくれた小学生の息子トミーと平凡な生活を送っている。しかし、夫の事故死をきっかけに、アリスは再び歌手を目指すと決心し、トミーを連れて故郷モンタレーを目指し旅立つが…。


マーティン・スコセッシの日本初公開作品。当時『エクソシスト』などでも高い評価を得た演技派女優のエレン・バースティンが自ら企画し、まだ『ミーンストリート』を撮っただけの若いスコセッシに監督を依頼した。共演はペキンパーの『ビリーザキッド 21才の生涯』で俳優に挑戦したカントリー歌手のクリス・クリストファーソン。スコセッシの仲間はハーヴェイ・カイテルそしてこの作品で見いだされた子役の少女がジョディ・フォスター。『ファイブ・イージー・ピーセス』のビリー・グリーン・ブッシュも出演。スコセッシは女優を主人公にした作品は以後も本作だけだが、結局エレン・バースティンはアカデミー主演女優賞を受賞し、当時台頭しはじめた「女性映画」の代表作となった。当時の女性映画というのは基本的に、映画の主人公として中年の女性を軸にすることはなかった。(これは結局現在でも同じだが)
プリントは少し褪色しているが良好なビスタプリント!


『突破口!』Charley Varrick 1973/U,S,A,/111分

監督・製作ドン・シーゲル
原作ジョン・リーズ
脚本ハワード・ロッドマン、ディーン・リーズナー
撮影マイケル・C・バトラー
音楽ラロ・シフリン
出演ウォルター・マッソー、アンディ・ロビンソン、
 ジョー・ドン・ベイカー、ジョン・ヴァーノン、

農薬の空中散布飛行士のチャーリー・ヴァリックは切れ者だ。妻ナーディン、相棒のハーマンら寂れた西部の町の銀行強盗する。しかし小金を狙ったにもかかわらず偶然その銀行には75万ドルもの大金が隠されていた。それがマフィアの隠し金だったためチャーリーもハーマンも予想外の危険にさらされることになる…。


『ダーティハリー』の次に撮ったのがこの作品。同じ犯罪映画ではあるが、単純に刑事側、犯罪者側という視点の違いだjけでなく、構成が全く違った作りになっているのには驚かされる傑作。物語進行の早さはまるでウォルシュ並で 緻密は伏線はヒッチコックを越え、深いキャラクター背景も味のあるウォルター・マッソーの演技が十分カバーしている。

プリントは良好なビスタプリント

『人形の家』A Doll's House 1974/UK/107分

監督・製作ジョセフ・ロージー
原作 ヘンリック・イプセン
脚本 デヴィッド・マーサー
撮影ジェリー・フィッシャー
音楽ミシェル・ルグラン
出演 ジェーン・フォンダ、デヴィッド・ワーナー、トレヴァー・ハワード、
 エドワード・フォックス、デルフィーヌ・セイリグ

ノルウェーの北のはずれにある小さな町。結婚を間近にした若い娘ノラは、親友のクリスチーネと、独身時代最後の一日をスケートをして楽しんでいた。ノラの夫は弁護士で、二人は誰が見ても申し分ない似合いのカップルだった。一方、ノラの幸せそうな様子を見るにつけ、クリスチーネの気持は暗い。彼女には病気の母と二人の弟をかかえた生活が、彼女の肩に重くのしかかっていたからであるが…。

イプセンの有名な戯曲をロージーが映画化。それも主演が闘う女優のジェーン・フォンダとフランスの知性派デルフィーヌ・セイリグ(『去年マリエンバートで』)。英国の名優トレヴァー・ハワードに加え、当時国際的に活躍するようになったばかりの若手英国俳優エドワード・フォックス(『ジャッカルの日』)、デヴィッド・ワーナー(『わらの犬』)が脇を固めた。ロージーの中では取り立てて優れた作品ではないが、イプセンの原作も19世紀末のフェミニズム運動の勃興とともに語られる作品であったが。この映画化は原作執筆から100年後であり、1970年代当時のフェミニズム系の女性映画という捉えられ方の中で映画化されたものである。
プリントは少々褪色しているが本来地味な色彩で撮られているのでさほど気にはならない。

『さらば冬のカモメ』The Last Detail 1973/U.S.A./104分/スタンダード

監督ハル・アシュビー
原作ジェラルド・エアーズ
脚本ロバート・タウン
撮影マイケル・チャップマン
音楽ジョニー・マンデル
出演 ジャック・ニコルソン(ビル・バダスキー)、
 ランディ・クエイド(ラリー・メドウズ)、オーティス・ヤング(マルホール)、
 クリフトン・ジェームズ キャロル・ケイン、マイケル・モリアーティ

バダスキーとマルホールは、海軍の将校。その2人が、若い水兵メドウズを、ノーフォーク海軍基地から、ポーツマスの海軍刑務所まで護送するように命令された。メドウズは、基地の慈善用募金箱から40ドル盗もうとした罪で、刑を宣告されたのだ。3人はバスで基地を出発、やがて二人はメドウズと仲良くなり、ワシントンに着く。二人は、メドウズに最後のひと時を楽しませてやろうと考えるが…。

公開当時は一部で知られ最近になってカルト映画として再評価されたハル・アシュビーの作品と言えば『ハロルドとモード』であるが、そのアシュビーの代表作がこれだろう。キャロル・ケイン、マイケル・モリアーティら個性的な脇役も出演。1974年のカンヌ映画祭でパルム・ドール(最高作品賞)にノミネートされた他、主演のジャック・ニコルソンがカンヌ国際映画祭男優賞を授与。またニコルソンとランディ・クエイドもアカデミー賞にノミネートされ 脚本のロバート・タウンがアカデミー脚色賞ノミネートされた。

プリントは最良好


『チャイナタウン』Chinatown 1974/U.S.A./131分/ シネマスコープ

監督ロマン・ポランスキー
製作ロバート・エヴァンス
脚本ロバート・タウン
撮影ジョン・A・アロンゾ
音楽ジェリー・ゴールドスミス
出演 ジャック・ニコルソン(JJ・ギテス)、フェイ・ダナウェイ(イヴリン・モウレー)、
 ジョン・ヒューストン(ノア・クロス)、ペリー・ロペス(ルー・エスコバー)

1930年代のロス。私立探偵ギテスはモーレイ夫人と名乗る女性に依頼され、市の水道局幹部であるホリス・モーレイの身辺調査をする。尾行の結果、ジェイクはホリスが若いブロンドの女性と逢っている様子を写真に撮影すが、依頼者は偽のモーレイ夫人であった。またホリス・モーレイが殺されたため、ギテスは事件の深みにはまっていく…。

ニューシネマで売り出したジャック・ニコルソンとフェイ・ダナウェイを主演に『ローズマリーの赤ちゃん』でハリウッドに進出したポーランド出身のポランスキーを監督に据えたフィルムノワールの傑作。脚本は『さらば冬のカモメ』のロバート・タウンだった。ニューシネマ後に1973年から1年程だが30年代ノスタルジーブームがハリウッドで興った。それはレッドフォード主演の『華麗なるギャッツビー』などもあるが、この作品は30年代のヘイズコード化では扱えなかった題材を軸にすえ、健全なカリフォルニアに渦巻く水と血を巡る物語。探偵映画『マルタの鷹』で知られる監督のジョン・ヒューストンがカギになる役で出演。
一部褪色があるが良好なシネスコプリント! 


スケジュール

5/28(土) 16:30~アリスの恋 19:00~人形の家 21:00~突破口
5/29(日) 14:00~突破口 16:30~アリスの恋 秘密の日曜劇場
5/30(月) 20:00~人形の家
5/31(火) 20:00~アリスの恋
6/1(水) 20:00~突破口
6/2(木) 20:00~人形の家
6/3(金) 20:00~アリスの恋
6/4(土) 14:00~アリスの恋 16:15~さらば冬のかもめ 18:30~チャイナタウン
6/5(日) 14:00~さらば冬のかもめ 16:15~チャイナタウン
6/6(月) 20:00~突破口
6/7(火) 20:00~さらば冬のかもめ
6/8(水) 20:00~チャイナタウン
6/9(木) 20:00~人形の家
6/10(金) 20:00~アリスの恋
6/11(土) 15:00~突破口 17:30~さらば冬のかもめ 20:00~チャイナタウン
6/5(日) 14:00~チャイナタウン 17:00~人形の家 20:00~秘密の日曜劇場
6/13(月) 19:30~チャイナタウン
6/14(火) 19:30~突破口
6/15(水) 19:30~さらば冬のかもめ
6/16(木) 19:30~人形の家
6/17(金) 19:30~アリスの恋
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