西部劇の真実

【2010年02月06日 から 2月10日(水) まで 】

巨匠、クルーズ、ウォルシュ、ウェルマン、監督が暴く傑作西部劇

鑑賞トリビア1【カウボーイと放浪者】
西部劇で主人公は町の保安官かカウボーイがほとんど。
保安官は町の選挙で選ばれ、町を安全を守る。
ハワード・ホークスの『リオ・ブラボー』などはその最たるものである。
ジョン・フォードの『荒野の決闘』ではヘンリー・フォンダが演じるワイアット・アープは元保安官であり引退して弟たちとカウボーイに戻るが、
弟がクラントン一家に殺されたために再びトゥームストーンの保安官にカムバックする。
19世紀のアメリカ西部では銃で自分の命を守るのが当然で、多くの人々が銃を携帯していた。
カウボーイは牧場主に雇われ、食肉牛の移送が主な仕事のフリーの労働者であるが、銃の名手であれば牧場主は自警のためのボディーガードとしても雇う。
 放浪のカウボーイは時には犯罪にも加担するから小さな町では「よそ者」として扱われる。

鑑賞トリビア2【カスター将軍とインディアン戦争の解釈】
アメリカの建国史あるいは西部開拓の歴史でもっとも有名な軍人は後の大統領で北軍のグラント将軍、
そしてグラント敵対した南軍のロバート・リー将軍であるが“英雄”として最前線で殉死した軍人ではカスター将軍ということになるだろう。
 南北戦争の「ゲティスバーグの戦い」で名を上げ20代前半で将軍職に就いた。
そして1867年にシャイアン族とスー族への攻撃に参加し有名な第7騎兵隊を指揮。
その「インディアン戦争」での功績はながらく語り継がれ映画中でも勇敢な英雄像として70年代までは描かれてきたが、
1970年以降は「インディアン戦争」の歴史的な見直しとともに美しいロマンが剥ぎ取られ
ニューシネマでは“狂気の虐殺者”あるいは自分の見栄のために部下を道連れに殺した馬鹿として描かれるようになった。

全作品字幕投射付

スケジュールにいくつか変更がございました。申し訳ございません

「オックス・ボウ事件」The Ox-Bow Incident 1943/U.S.A./75分(16mmプリント)

監督ウィリアム・A・ウェルマン
製作・脚本ラマー・トロッティ
原作ウォールター・ヴァン・ティルバーグ・クラーク
撮影アーサー・ミラー
出演ヘンリー・フォンダ(ギル・カーター)、
 ハリー・モーガン(アート)、
 ダナ・アンドリュース(ドナルド・マーティン)、
 アンソニー・クイン(ホアン・マルティネス)、
 フランシス・フォード(アルヴァ・ハードウィック)、
 メアリー・ベス・ヒューズ(ローズ)、
 ジェーン・ダーウェル(ジェニー・グリア)

1885年ネヴァダの小さな町。カウボーイのアートとギル・カーターがやって来る。
その町はよそ者に冷淡だった。
ギルはかつての彼女のその後を気に病んでいた。一方町には牧場で牛泥棒による殺人の被害が知らされる。
町の住人たちは保安官の帰るのも待たずに判事の反対も押し切って自警団を結成し牛泥棒を“吊るそう”と追跡する。
アートとカーターも追跡隊に参加する。
やがて三人の男を見つけた自警団は彼らが冤罪を主張するにもかかわらずその場で絞首刑にしてしまうが…。

西部のリンチ/私刑を正面から描いた社会派西部劇。アメリカでは高い評価を受けながら戦後の日本では公開されなかった幻の西部劇。
ジャーナリストのウォールター・ヴァン・ティルバーグ・クラークが書いた同名小説映画化。
製作と脚本はジョン・フォードの『プリースト判事』『周遊する蒸気船』に参加し『若き日のリンカーン』を書いたラマー・トロッティ。
主演はヘンリー・フォンダで『怒りの葡萄』の他、すでに名優としての名を築いていたが、脚本に惚れ込んで出演した。
決して大作ではなく上映時間も短く舞台も小さいがそれまでの西部劇では扱われない方法でリンチを描き、
近年ではクリント・イーストウッドが若き日に見て強いインパクトを受けた作品としても知られるようになった。
日本では『牛泥棒』の題名でテレビ放映、ソフト化された。

「壮烈第七騎兵隊」They Died With Their Boots On 1941/U.S.A./138分(16mmプリント)

監督ラオール・ウォルシュ
製作ハル・B・ウォリス、ロバート・フェローズ
脚本ウォーリー・クライン、イーニアス・マッケンジー
音楽 マックス・スタイナー
撮影バート・グレノン
出演エロール・フリン(ジョージ・A・カスター)、オリビア・デ・ハビランド(エリザベス・ベーコン)、アーサー・ケネディ(ネッド・シャープ)、ジーン・ロックハート(サミュエル・ベーコン)、 アンソニー・クイン(クレイジーホース)

1857年、ウエスト・ポイント陸軍士官学校に入学したカスターはカスターは勇敢で戦闘の才能はあったが、
上級生ネッド・シャープと対立する問題児。
運命の女性エリザベスと出逢うが、時は南北戦争の勃発。
卒業を繰り上げられ北軍に加わり第二騎兵隊を率いて目覚しい活躍をして一躍、時の英雄となった。
結婚を経て退役するが、妻の内助で再び司令官として現役に復帰。任地ダコタのリンカーン砦に赴任。
しかし再会したシャープの振舞いで士気も乱れインディアンが君臨していた。
カスターは兵士たちをたたき直し、勇猛果敢な部隊へと変貌させる。
伝説の「第七騎兵隊」の誕生だった。
カスター追い落としをはかるシャープの謀略とクレイジーホースが組織したインディアン連合軍と闘うことになった…。

アメリカの歴史に“英雄”として名を残したカスター中佐の半生記。
士官学校への入学に始まり、南北戦争を経て、リトル・ビッグ・ホーンでスー族の前に第七騎兵隊を率いて全滅するまでを描く。
監督はジョン・フォード、ハワード・ホークスと並んで60年代まで西部劇の巨匠であったラオール・ウォルシュ!
 主演には40年代の美男スターのエロール・フリンで妻役には『風と共に去りぬ』でも知られるオリビア・デ・ハビランド。
西部劇の名悪役アーサー・ケネディや後にフェリーニの『道』などヨーロッパでも活躍したアンソニー・クインが先住民の勇士クレイジー・ホースを演じる。

「幌馬車」The Coverd Wagon 1923/U.S.A./78分/サイレント18コマ映写(16mmプリント)

監督ジェームス・クルーズ
製作ジェシー・L・ラスキー
原作エマーソン・ハフ
脚本
撮影カール・ブラウン
出演ジャック・ウォーレン・ケリガン(ウィル・バニオン)、ロイス・ウイルソン(モリー・ウィンゲート)、アラン・ヘイル・シニア(サム・ウッドハル)、アーネスト・トレンス(ウィリアム・ジャクソン)

ウィンゲート率いる大幌馬車隊が、遠く開拓地のオレゴンを目指して出発する。
途中、若きバニオン率いる別の幌馬車隊と合流し、ともに困難を乗り越えながら進んでゆくが、原住民のインディアンにとって白人たちが鋤で自然を破壊しに来たとしか考えない。
幌馬車隊は砂漠や山を越え、脱落していく人々もいる。そんな過酷な旅の中でやがてウィンゲートの娘モリーは、飾らないやさしさをもつバニオンにひかれてゆくにだった…。


サイレント時代20年代に西部劇と言えば、ウィリアム・S・ハートやハリー・ケリーそしてフランシス・フォードなどヒーローとしての保安官(シェリフ)が悪党と射ち合うというのが本流の
ガン・アクション映画あるいは馬でのチェイスを売りしたスペクタクル・アクション映画だった。
しかしこの1923年に製作された『幌馬車』は大きく異なった78万ドルの大予算と3000人の出演者を使った歴史劇としての西部劇という
ジャンル再生した記念すべき作品となったのだ。
ジョン・フォードもウォルシュもホークスも後に西部劇の巨匠となった監督たちはこの作品の後に続くこととなった。
フォードはこの作品に刺激されて『アイアン・ホース』を翌24年に発表した。
アメリカではグリフィスの『国民の創生』と並ぶアメリカ史を描いた傑作とされ、日本でも
第1回のキネマ旬報ベストテンでも「娯楽的に優れた作品」部門の第1位に輝いた。
西部劇は白人の西部開拓の物語であった事実である。
もちろんこの作品ではインディアンは襲って来る野蛮な原住民でしかない。
しかし、それまで荒野と砂漠が西部劇の舞台であったが、この作品では北部のワイオミングの雪景色が登場したことも重要な要素だった。
50年代以後このワイオミングの北部の風景を西部劇に生かしたのはアンソニー・マンであった。

スケジュール

14:00〜 15:00〜 16:00〜 17:00〜 19:00〜 20:00〜
2/6(土) - 幌馬車 - 壮烈第七騎兵隊 - オックス・ボウ事件
2/7(日) オックス・ボウ事件 - 壮烈第七騎兵隊 - 幌馬車 -
2/8(月) - - - - - 幌馬車
2/9(火) - - - - - オックス・ボウ事件
2/10(水) - - - - - 壮烈第七騎兵隊
2/11(木) - - - - - オックス・ボウ事件
2/12(金) - - - - (16:00)壮烈第七騎兵隊
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