ドン・シーゲル特集

【2011年11月03日 から 12月11日(日) まで 】

ドン・シーゲル特集

ドナルド・シーゲル(Donald "Don" Siegel 1912年10月26日 - 1991年4月20日)はアメリカ合衆国イリノイ州シカゴ出身。 マンドリン奏者である父の巡業のため、幼い頃からアメリカ各地を転々とし、高校卒業後に家族で渡英。ケンブリッジ大学や英国王立演劇アカデミーで学び、その後再び家族で渡仏。1931年に帰国し、叔父がワーナー・ブラザーズで働いていたため、34年、同社で働くようになる。編集助手や助監督などでラオール・ウォルシュ、ハワード・ホークス、マイケル・カーティスを始めとする数多くの映画監督の下に付く。モンタージュ技術があり、「彼奴は顔役だ!」など担当として腕を振るった。 1944年にはハワード・ホークス監督の『脱出』の助監督に付いた時は、ワーナーへの仕返しとしてエキストラにより多くの賃金を払っていたことがバレて現場立ち入りを禁じられたというエピソードを持つ。1945年に短編映画『Star In The Night』で監督デビューし、その後ナチスを扱ったドキュメンタリー映画『Hitler Lives?』でともにアカデミー賞を受賞する。1946年に『The Verdict』で長編映画デビュー。長編第2作『Night Unto Night』では、主演女優ヴィヴェカ・リンドフォースと恋に落ち、結婚する(1953年に離婚)が、既に映画界は斜陽の兆しを見せており、1948年にはワーナーも業務改善のためにシーゲルを始め多くの社員を解雇した。9ヶ月の失業生活の後、友人であったロバート・ロッセン監督によるアカデミー賞作品『オール・ザ・キングスメン』の第2班監督をノンクレジットで引き受けた。その後、ハワード・ヒューズに招かれてRKOにて映画を撮りつつ、様々な会社を渡り歩き、乏しい予算と日数の中でB級映画を撮り続ける。 1954年には、シーゲル自身も気に入っているとしている『第十一号監房の暴動』を手掛ける。ジョン・フォード監督の『駅馬車』などを生み出したプロデューサー・ウォルター・ウェンジャーによる製作であり、また、ウェンジャーの口利きで映画界入りしたサム・ペキンパーが監督助手としてシーゲルの下に付いた。ペキンパーはその後も『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』や、『暴力の季節』など4本の映画でシーゲルの監督助手を務めた。 1950年代から1960年代にかけてテレビの台頭が進む中、シーゲルはテレビドラマの演出も数多く担当し1964年の『殺人者たち』は、本来テレビドラマ用に作られたものだったが、暴力的な内容に加え、ケネディ大統領暗殺事件の煽りを受けて劇場公開された。1968年、イーストウッド主演の『マンハッタン無宿』がシーゲルに決定した。撮影を通じてシーゲルとイーストウッドは意気投合し、翌年の『真昼の死闘』で再びコンビを組んで、その後『白い肌の異常な夜』を発表。そして大ヒット作である『ダーティハリー』が公開され、2人の名が世界に轟くこととなった。 70年代には、銀行強盗とマフィアの対決を描いた『突破口!』や、ヒッチコック風スパイアクションの『ドラブル』、ジョン・ウェインの遺作となった西部劇『ラスト・シューティスト』、薬物催眠による東西対立を描いた『テレフォン』などの作品を撮り、同世代のロバート・アルドリッチやリチャード・フライシャーらと共に1970年代のアクション映画を牽引した。1979年の『アルカトラズからの脱出』は、イーストウッドとの最後の作品となった。『ラフ・カット』の後、遺作となった『ジンクス』では、第2班監督として弟子であるペキンパーが付いて、シーゲルを励ます形となったが、この2年後にペキンパーは死去した。映画界から距離を置いたシーゲルは、自伝の執筆に力を注ぎ、1991年4月20日、癌により死去する。シーゲルの弟子と呼べるイーストウッドは、『許されざる者』を、いま一人の師であるセルジオ・レオーネと共に、シーゲルに捧げている。

全作16ミリフィルム(プリント)上映/デジタル字幕付




『抜き射ち二挺拳銃』The Duel at Silver Creek 1952/U.S.A./63分/テクニカラー(オリジナル77分)

監督ドン・シーゲル
製作レナード・ゴールドスタィン
音楽ジョセフ・ガーシェンソン
脚本 ジョセフ・ホフマン、ジェラルド・ドレイソン・アダムス
撮影アーヴィング・グラスバーグ
出演  オーディ・マーフィ(シルバー・キッド) 
  スティーブン・マクナリー(稲妻保安官・タイロン) 
  フェイス・ドマーグ(オパル) 
  スーザン・キャボット(ダスティ)
   ユージン・イグレシアス(ジョニー・ソンブレロ)
   リー・マーヴィン

ゴールド・ラッシュに沸き立つカリフォルニア。
シルバー・シティ附近の砂金採掘場は、つぎつぎに採掘権強奪ギャングに襲われた。
父を殺された二挺拳銃の名手シルバー・キッド(オーディ・マーフィ)は仇を討つために町へ…。
町の保安官タイロン(スティーブン・マクナリー)は"稲妻"といわれる早射ちの名手で、
親友のダン老人と、彼を慕うダスティ(スーザン・キャボット)に見送られて強奪団追跡に出発した。
タイロンは負傷し砦の病院で治療した。
そこで彼は町に鉱山会社を持つロッドの妹というオパル(フェイス・ドマーグ)に会った。
町にもどると、ダンが何者かに殺され彼の金塊が盗まれる事件が起こっていた。
タイロンは町の無頼漢ジョニーを怪しいとにらんだ。
酒場で知り合ったリュークを、彼の腕をみこんで助手にするが…。





「第十一監房の暴動」Riot in Cell Block 11 1954年/U.S.A./80分/BW 

監督ドン・シーゲル
製作ウォルター・ウェンジャー
脚本リチャード・コリンズ
撮影ラッセル・ハーラン
出演ネヴィル・ブランド、エミール・メイヤー、フランク・フェイレン、レオ・ゴードン

1950年代アメリカでは各地の刑務所で不満が爆発し、暴動が起こりつつ合った。 ある州立刑務所の第11監房で囚人たちの暴動が勃発。主導者は頭も腕もいいダンと乱暴者カーニー。彼らは先ず暴力で8人の看手達を人質にとって監房に立てこもり。暴動は他の房へも波状的に拡大、その極限に達した頃はとうてい看手達では手に負えなくなった…。


「海外特派員」などのウォルター・ウェンジャーが製作する刑務所映画の傑作。監督に抜擢されたのは若きドン・シーゲルだった。


『盗まれた街/ボディ・スナッチャー』Invation of the Bodysnachers 1956/80分/スーパースコープ(2:1)  

監督ドン・シーゲル
製作ウォルター・ウェンジャー
原作ジャック・フィニイ(「盗まれた町」)
脚本ダニエル・メインウェアリング、サム・ペキンパー
撮影エルスワース・フレデリックス
出演  ケヴィン・マッカーシー(マイルズ・J・ベネル医師)
  ダナ・ウィンター(ベッキー・ドリスコル)
  キャロリン・ジョーンズ(テオドラ・ベリチェク) 
  ラリー・ゲイツ(ダン・カウフマン医師)br>   サム・ペキンパー


ある日狂った医師マイルズ・ベネルがハイウェイで拘束された。彼が話すには…。
ベネルは医師会からの自分の町に帰ってきた日に町にある異変が起こっていることに気づいたのだった。
町は異星生物の侵略を受けていた。その生物は次々と眠っている間に人間の複製を造り上げ、本物と入れ換わっていく思われる。
事実を知り、恋人と共に街を脱出しようとするが……。

原作は有名なジャック・フィニーの「盗まれた街」で、これは最初の映画化だった。後に80年代には『SFボディスナッチャー』(監督:フィリップ・カウフマン)として、そして07年にはニコール・キッドマン主演で『インベーション』としてもリメイクされたがやはりこのオリジナルを超えることは出来なかった。 『ダーティハリー』など70年代にはアクション監督として知られるようになったドン・シーゲルが知られるきっかけになったSFホラーの傑作。『ワイルド・バンチ』(69)で知られるバイオレンス映画の巨匠サム・ペキンパーが脚本に参加し出演もしていることで知られる。

 日本では未公開であるが、ビデオはかつて発売されていた。しかしビデオ版はトリミング版であった。
今回上映のプリントは16mm版であるがスーパースコープサイズであるため映写に関しては上下をマスクし2:1のオリジナルサイズで上映する。

『突破口!』Charley Varrick 1973/U,S,A,/111分

監督・製作ドン・シーゲル
原作ジョン・リーズ
脚本ハワード・ロッドマン、ディーン・リーズナー
撮影マイケル・C・バトラー
音楽ラロ・シフリン
出演ウォルター・マッソー、アンディ・ロビンソン、
 ジョー・ドン・ベイカー、ジョン・ヴァーノン、

農薬の空中散布飛行士のチャーリー・ヴァリックは切れ者だ。妻ナーディン、相棒のハーマンら寂れた西部の町の銀行強盗する。しかし小金を狙ったにもかかわらず偶然その銀行には75万ドルもの大金が隠されていた。それがマフィアの隠し金だったためチャーリーもハーマンも予想外の危険にさらされることになる…。


『ダーティハリー』の次に撮ったのがこの作品。同じ犯罪映画ではあるが、単純に刑事側、犯罪者側という視点の違いだjけでなく、構成が全く違った作りになっているのには驚かされる傑作。物語進行の早さはまるでウォルシュ並で 緻密は伏線はヒッチコックを越え、深いキャラクター背景も味のあるウォルター・マッソーの演技が十分カバーしている。

プリントは良好なビスタプリント

「ドラブル」The Black Windmill 1974/U.K/ 106分/ビスタ

製作・監督ドン・シーゲル
脚本リー・ヴァンス
原作クライヴ・イーグルトン
撮影オウサマ・ラーウィ
音楽ロイ・バッド
出演マイケル・ケイン、ジョン・ヴァーノン、
 ドナルド・プレゼンス、デルフィーヌ・セイリグ、ジャネット・スーズマン

ロンドン郊外の野原で遊んでいた二人の少年が、外国人スパイとその愛人に誘拐された。その頃、少年の父親ジョン・タラントは英国情報員として密輸組織に潜入しようとしていた。息子を誘拐した組織と密輸組織の関係は? また英国諜報部の内部にスパイがいるのではという疑惑も浮かびあがりタラントが疑われることに…。


70年に「ダーティハリー」で知られるようになりクリント・イーストウッドをスターにしたドン・シーゲル。「突破口!」を経て、イギリスでヒッチコック風のスパイサスペンスに挑戦した。原題は「ブラックウィンドミル(黒い風車)」であることからも判るように、「海外特派員」への目配せもあり、また「トパーズ」にの出演していたジョン・ヴァーノンが「突破口!」に続いて出演。アラン・レネの「去年マリエンバートで」でも知られるフランス女優のデルフィーヌ・セイリグも出演。



『ラスト・シューティスト』The Shootist 1976/U.S.A/99分(スタンダード版)

監督ドン・シーゲル
脚本マイルズ・フッド・スワザウ、スコット・D・ヘイル
撮影ブルース・サーティース
音楽 エルマー・バーンスタイン
原作 グレンドン・スワザウト
出演ジョン・ウェイン、ローレン・バコール
ジェームズ・スチュアート、ロン・ハワード
リチャード・ブーン、ジョン・キャラダイン、ヒュー・オブライエン、ビル・マッキニー

1901年1月22日、初老のJ・B・ブックス(ジョン・ウェイン)が、ネバダ州カーソン・シティに着いた。
彼は、10日ほど前から痛む腰椎のことが気になり、ホステトラー医師(ジェームズ・スチュアート)を訪ね、ガンであることを知った。
彼はホステトラーのすすめに従い、ロジャース夫人(ローレン・バコール)の下宿で余生を過ごすことにする。
しかしかっては早撃ちで有名なガンマンだったブックスを殺したがっている奴は多数おり、奴らはブックスを殺すことで名をあげようとしていた。
ブックスは自らの死に時を感じつつ、下宿屋の若い息子ギロム(ロン・ハワード)に何かを残そうとするが…。


イーストウッドの『グラントリノ』と比較されることで知られるようにもなったジョン・ウェインの遺作。
監督はまさにイーストウッドの師匠でもあるドン・シーゲルで撮影も初期イーストウッド作品を多数担当したブルース・サーティース。
共演者もかつてウェインとは『リバティ・バランスを射った男』でも共演したジェームズ・スチュアート。そして、ハワード・ホークス作品でデビューしたローレン・バコール。またジョン・キャラダインら名優が脇を固めた。若き青年は今では監督として知られるロン・ハワード。

『アルカトラズからの脱出』Escape From Alcatraz 1979/U.S.A./112分(スタンダード版)

監督・製作ドナルド・シ−ゲル
脚本リチャード・タッグル
撮影ブルース・サーティース
音楽ジェリー・フィールディング
出演クリント・イーストウッド(フランク・モーリス)、パトリック・マクグーハン(所長)
 ポール・ベンジャミン(イングリッシュ)、ロバート・ブロッサム(ドク)
 フレッド・ウォード(ジョン・アングリン)、ジャック・ティボー(クラレンス・アングリン)、ラリー・ハンキン(チャーリー・バッツ)
 

1960年1月18日サンフランシスコの沖合。脱走不可能といわれるアルカトラズ島刑務所にl人の囚人フランク・モーリスが護送されてきた。冷酷な所長ウォーデンの下で厳重な警備体制がとられ、指数のきわめて高い新入りモーリスは、特に所長に目をつけられる。ネズミをペットにしているノトマスという年配の囚人。図書館の係員をしている黒人のイングリッシュや絵を描くのが趣味だというドクとも親しくなったが、ウルフと言う乱暴者とは殴り合いの乱闘騒動まで起す。ある日、モーリスは、食堂で見知った顔と出会った。別の刑務所でいっしょだったアングリン兄弟と秘かに脱走計画を実行に移す決心を固めてるが…。

すでに監督もしていたイーストウッドが久々に師匠のドナルド・シ−ゲルと組んだ刑務所もの。 撮影はこの時代の最高峰で闇と望遠レンズを巧みに使うブルース・サーティース。脚本はこの作品をきっかけに『ダーティハリー4』や『タイトロープ』などイーストウッドに起用されたリチャード・タッグル。この人は『タイトロープ』に続き『ランナウェイ 18才の標的』Out of Boundsを監督もしたがその後作品がないのは残念だ。
厳しい看守役にはパトリック・マクグーハン。若いフレッド・ウォードも登場するが、なにせ脇役が素晴らしい顔をしている。今のアメリカ映画には期待しても見る事のできない味の或る名優ばかりである。爪切りと菊の花は見事! ところでアルカトラズ刑務所を舞台にして映画ではフランケンハイマーの『終身犯』があるが、シーゲル自身も『第11監房の暴動』を撮っている。



「ラフカット」Rough Cut 1980/U.S.A./ 112分(スタンダード版)

監督ドナルド・シ−ゲル
製作デイヴィッド・メリック
原作デレック・ランバート
脚本フランシス・バーンズ
撮影フレディ・ヤング
音楽ネルソン・リドル
出演バート・レイノルズ、レスリー・アン・ダウン、
 デイヴィッド・ニーヴン、ティモシー・ウェスト、パトリック・マギー
 

初秋のロンドン。大富豪の結婚記念パーティで、1人の着飾った紳士が女性たちの目をひいた。彼ジャック・ローズは、中華料理店を経営する実業家だが、それは表向きの姿で、実は宝石泥棒である。完全な手口で警察を煙にまく彼はまた、盗んだ宝石を巧みに現金化するということでも有名だった。その彼が、ある神秘的な美しさをもつ女性に目をつけたため…。

「アルカトラズからの脱出」の後、シーゲルがバート・レイノルズを主演にとったこちらも少しヒッチコックの「泥棒成金」を思わせるコメディアクション。70年代はシーゲル=イーストウッドに対してアルドリッチ=レイノルズのコンビであったがこちらは変則的にシーゲルとレイノルズのコンビが成立した。



スケジュール

11/3(木/祝) 15:00〜ドラブル 17:30〜アルカトラズからの脱出 20:00〜抜き撃ち二挺拳銃
11/4(金) 20:00〜抜き撃ち二挺拳銃
11/5(土) 15:00〜ドラブル 17:30〜抜き撃ち二挺拳銃 19:00〜アルカトラズ
11/6(日) 14:00〜第11監房の暴動 16:00〜ドラブル 18:30〜抜き撃ち二挺拳銃
11/7(月) 20:00〜アルカトラズからの脱出
11/8(火) 20:00〜ドラブル
11/9(水) 20:00〜第11監房の暴動
11/10(木) 20:00〜ラスト・シューティスト
11/11(金) 20:00〜ドラブル
11/12(土) 15:00〜第11監房の暴動 17:00〜抜き撃ち二挺拳銃 - -
11/13(日) 16:30〜第11監房の暴動 19:00〜抜き撃ち二挺拳銃
11/14(月) -
11/15(火) 20:00〜ラスト・シューティスト
11/16(水) 20:00〜第11監房の暴動
11/17(木) 20:00〜アルカトラズからの脱出
11/18(金) 20:00〜ボディスナッチャー
11/19(土) 15:00〜ボディスナッチャー  17:00〜第11監房の暴動- -
11/20(日) 16:30〜ラスト・シューティスト 19:00〜ラフカット
11/21(月) -
11/22(火)
11/23(水/祝) 15:00〜ラフカット 17:30〜第11監房の暴動 -
11/24(木) -
11/25(金) -
11/26(土) 15:00〜突破口! 17:30〜第11監房の暴動 -
11/27(日) 15:30〜ラフカット 17:30〜突破口 秘密の日曜劇場〜ドン・シーゲル〜
11/28〜12/2
12/3(土) 15:00〜ボディスナッチャー  17:00〜ラフカット -
12/4(日) 16:00〜第11監房の暴動 18:00〜ラスト・シューティスト
12/5〜12/9 -LATE SHOW-
12/10(土) ニコラス・レイ特集 ニコラス・レイ特集 20:00〜ラフカット
12/11(日) 15:00〜突破口 ニコラス・レイ特集 ニコラス・レイ特集
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