ニコラス・レイ特集

【2011年12月10日 から 1月14日(土) まで 】

『理由なき反抗』でジェームス・ディーンを見いだしたニコラス・レイの生誕100年は各地で開催されつつある。
レイは50年代末には世界の若き映画作家たちに大きな影響与えた。それはフランスのゴダールから始まり、それまでの戦前からの価値観に基づいて作られていたまさに大人にとって都合の良い若者、あるいは明快な主人公とはひと味異なった悩めるキャラクター像の創造であった。
今回は公開後上映される機会の少ない作品ばかり、6月に上映した『死のロデオ』に加えて貴重な3作品。 特別上映の短編も年末に予定中!

まずは第1弾。今後の上映作品として来年には『夜の人々』『大砂塵』そして『北京の55日』なども上映予定中










『エヴァグレイスを渡る風』Wind Across Evergrades 1958/U.S.A./93min/color

監督ニコラス・レイ
製作・脚本バッド・シュールバーグ
撮影ジョセフ・ブラン
出演クリストファー・プラマー、バール・アイヴス、ジプシー・ローズ・リー、ピーター・フォーク

20世紀初頭アメリカでは羽根つき帽子が大流行していた頃。フロリダにニューヨークから一人の高校教師マードックがやってくる。彼は自然保護運動に加担していた。一方、フロリダの湿地帯のエヴァグレイスでは密猟が盛んで、特に沼地の奥に脱走した犯罪者や世間からのはぐれ者を集め、首領ののコットンマウス(沼マムシ)を中心に野性の野蛮な生活を送る一味がいた。自然保護を訴えるオーデュポン協会はマードックにコットンマウスと対決させようとするが…。

レイのハリウッド末期の問題作。製作・脚本のバッド・シュールバーグはハリウッド最初のタイクーンの一人B・D・シュールバーグの息子で作家でもありエリア・カザンの『波止場』や『群衆の中の一つの顔』そしてボギー主演の『殴られる男』の脚本でも知られる。
物語は20世紀初頭のフロリダの湿地帯を舞台にしており、転任してきたインテリ教師が野蛮な漁師たちに野鳥の保護を説くというものだが、まるでコッポラの『地獄の黙示録』を思わせるような恐怖にさらされる。あるいはフェリーニの作品のような極端なディフォルメも見られる。
主演は若きクリストファー・プラマーそしてバンジョー奏者としても知られるカントリー・ミュージックの歌手バール・アイヴスに有名なストリッパーのジプシー・ローズ・リー、そして後に名優となる"刑事コロンボ"ピーター・フォークも出演している。
上映は新プリント・スタンダード版少し退色しているが前回上映の版よりは色彩は残っている



「にがい勝利」Bitter Victory 1957/ドイツ=フランス/BW/スタンダード版(アメリカ公開版)83分

監督ニコラス・レイ
脚本ルネ・アルディ、ニコラス・レイ 、ギャバン・ランベール
原作ルネ・アルディ
撮影ミシェル・ケルベ
音楽モーリス・ルルー
出演クルト・ユルゲンス、リチャード・バートン、レイモン・ペルグラン、ルース・ローマン

1943年アフリカ戦線--リビア。広大な砂漠をはさんで対峙するイギリス軍とドイツ軍は無気味な対立のうちにお互の動静をうかがっていた。こんなある日、イギリス軍司令部は、ベンガジのドイツ軍司令部を急襲し、機密書類を奪う作戦をたてた。この作戦のため二人の将校が選ばれた。隊長にブランド少佐、副隊長にジェイムズ・リース大尉が命ぜられた。しかし、この二人は、ブランドが小心翼々たる職業軍人なのに対して、リースは考古学者で、職業軍人にはげしい反感と軽蔑を感じていた。しかも、二人の対立を決定的にしたのは、出撃の前夜前線にやって来たブランドの妻ジェーンであった。彼女こそ、かつての日リースと激しい恋におちた女性だったから…。


西ドイツとフランスの合作としてレイが撮った戦争映画。臆病で嫉妬深いブランド少佐と、その妻と愛人関係のあった元考古学者でニヒリストのリース中尉の対立。スタッフもフランス、ドイツを中心としたヨーロッパ勢で、若き英国の俳優リチャード・バートンが抜擢された。また本作の直ぐ後にハマー・プロでドラキュラ俳優として有名になるクリストファー・リーが軍曹役で出演している。

ヨーロッパでの公開は108分だたが、今回の上映ではアメリカで公開された83分のスタンダード・トリミング版で上映

『追われる男』Run for Cover  1955/U.S.A./93min(カラー・スタンダード版)

監督・脚本ニコラス・レイ
脚色ウィンストン・ミラー
撮影ダニエル・ファップ
出演ジェームス・キャグニー、ヴェヴェカ・リンドフォース、ジョン・デレク、ジーン・ハーショルト

無実の罪で服役中だったマット・ドーは刑期を終え、新生活を求めて西部へやって来た。牧畜の中心地マディスンの近くで、彼はデイヴィという青年と知り合った。2人が鷹を狙って撃った銃声が誤解され、マディスンの町民は彼らを強盗と思いこんで捕えようとした。直ぐ誤解はとけたが、デイヴィは抵抗して重傷を負い、農場を営むスウェンスンの家で看護をうけた。スウェンスンと娘ヘルガそれにマットの熱心な看護でデイヴィは恢復したが、傷がもとで足の障害を持つことになった。町民は2人に謝罪する気持ちからマットをシェリフに選ぶ。マットはデイヴィを代理シェリフの役につかせたが、彼は不具になったのを根に持って正常な人間に反感を抱くようになっていた…。

リパブリック社で30年代のスター、ジョーン・クロフォード主演で大成功した『大砂塵』の後、B級西部劇専門のプロデューサーがもう一度30年代のスターを演出しないかと持ちかけられた。主演は30年代のスター、ジェームス・キャグニー。キャグニー晩年の作品である。今回はスタンダード版だが良好なカラー版プリントでの初上映。共演には『暗黒への転落』にも出演した若きジョン・デレク。そしてドン・シーゲル夫人のヴェヴェカ・リンドフォース



「ラスティ・メン/死のロデオ」 The Lusty Men 1952/U.S.A./113分/BW

監督ニコラス・レイ
原作クロード・スタヌッシュ
脚色ホレス・マッコイ、 デヴィッド・ドートート
撮影リー・ガームス
出演ロバート・ミッチャム、 スーザン・ヘイワード 
 アーサー・ケネディ、 アーサー・ハニカット

かつてのロデオ乗りのスター、ジェフ・マックブライドは大会での負傷を機に引退し、故郷の少年時代を過ごしたテキサス故郷を訪れる。そこへやって来たのがウェスとルイーズの夫婦。二人はとかつてジェフが住んでいた家と牧場の購入を計画していたのだ。ロデオファンのウェスはジェフとの出会いに興奮し、かねてからロデオ乗りに憧れていたウェスは指導してくれるよう頼みジェフもこれを受け入れる、しかしルイーズは地道な生活を望み反対していた。二人は大会への出場を計画する。ルイーズは「牧場購入の資金が貯まるまで」という条件付きでしぶしぶ承諾し、三人で大会を巡る旅へと出るのだが…。


ニコラス・レイ自身が気に入った作品としてあげるこのロデオ映画は日本未公開。ミッチャムとスーザン・ヘイワードの主演作。製作は同年にフリッツ・ラングにバーバラ・スタンウィック主演で「熱き夜の疼き/クラシュ・バイ・ナイト」を撮らせたウォルドとクラスナで物語の中心はヘイワードである。脚本は「彼らは廃馬を撃つ」「明日に別れの接吻を」のホレス・マッコイ。撮影はディートリッヒとスタンバーグ作品で知られる白黒コントラストの名手リー・ガームス。
今回は以前とは異なる完全版のオリジナル・プリントでの上映。これまで上映してきたプリントではカットされていたのがヘイワード演じる妻のシーンであるのがよく分かる。つまりこれはロデオ映画といいよりはレイ自身も語っているように「家」を持ちたがっている夫婦の物語なのである。
プリントもコントラストも良く、ガームスらしい明暗が見られる。(6月に上映した再上映です)

スケジュール

12/10(土) 15:00〜死のロデオ 17:00〜エヴァグレイスを渡る風 20:00〜ラフカット
12/11(日) 13:00〜エヴァグレイスを渡る風 15:00〜突破口
12/12(月)〜15(木) 休映
12/16(金) 20:00〜エヴァグレイスを渡る風
12/17(土) 15:00〜エヴァグレイスを渡る風 17:00〜追われる男 20:00〜にがい勝利
12/18(日) 14:00〜追われる男 16:00〜にがい勝利
12/19(月) 20:00〜エヴァグレイスを渡る風
12/20(火) 20:00〜にがい勝利
12/21(水) 20:00〜追われる男
12/22(木) 20:00〜死のロデオ
12/23(金) 15:00〜エヴァグレイスを渡る風 17:00〜死のロデオ 20:00〜にがい勝利
12/24(土) 15:00〜追われる男 17:00〜にがい勝利 19:00〜マリアンの友だち
12/25(日) 14:00〜フィニアンの虹 20:00〜秘密の日曜劇場
12/26(月) 14:00〜マリアンの友だち 20:00〜追われる男
12/27(火) 20:00〜エヴァグレイスを渡る風
12/28(水) リュミエール作品 リュミエール作品 リュミエール作品
12/29(木) 16:00〜フィニアンの虹 20:00〜死のロデオ
12/30(金) 16:00〜マリアンの友だち 20:00〜にがい勝利
年明けも上映あり!!
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